肝臓病のための猫用療法食の特徴

猫の肝臓は栄養素のとり込みや貯蔵、薬物や毒物の分解や解毒などの働きをしています。

脂肪の消化吸収に使われる胆汁を作るのも肝臓の役割りです。

もしも猫が肝臓病になってしまったら、猫は様々な症状を呈し最悪の場合は命を落としてしまうかもしれません。

しかし肝臓病は、通院と適切な栄養補給でコントロールできます。

栄養補給による肝臓病のコントロールに欠かせないのが療法食です。

肝臓病の猫の療法食とはどんなものなのか、猫が療法食を食べないときはどうすればよいかなどについてお伝えします。

肝臓病の猫が療法食を必要とする理由

猫の肝臓病の原因は1つではありません。シャム猫のように、もともと肝臓病にかかりやすい描種もあります。

加齢が原因の肝機能不全や、薬剤や毒物などが猫の肝臓にダメージを与えることも知られています。

極端な肥満も肝臓病の原因です。

ウィルスや細菌などの感染や銅が体に蓄積する遺伝病、がんなどの他の病気が原因になることもあります。

慢性の肝炎では、原因がわからないことも多々あります。

猫に特有の肝リピドーシスは、過激なダイエットやホルモンの異常など原因は様々です。

肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ初期には症状が出なかったり、出たとしても食欲の不振や元気がないなど肝臓病だと気づきにくい所見が多くなります。

定期的な健康診断を受けていないと、気づいたときにはかなり病状が進んでいるケースが多く見られます。

 

しかし猫が肝臓病にかかったとしても、肝臓は再生が可能な臓器です。

肝臓の負担を軽減し適切に栄養をコントロールをすることで肝細胞が増え、肝機能を復活させることが期待できます。

肝細胞の再生のためにはタンパク質が必要ですが、重度の肝臓病の場合はタンパク質の代謝で出るアンモニアの解毒が難しくなります。

そのためタンパク質を摂りながら、同時にタンパク質を制限するという難しい管理が必要です。

肝リピドーシスの場合には脂質を制限します。

治療のために病気に合わせて特別な食事管理をすることを食事療法といい、そのために調整されたキャットフードが猫の療法食です。

肝臓病の治療には食事管理が重要であり、飼い主が作るのは困難なため療法食が必要になります。

肝臓病の猫向け療法食の特徴

肝臓病の猫向けの療法食とは肝臓に負担をかけず、肝臓病の治療に適した栄養素が配合されたキャットフードです。

療法食をとり入れるには獣医師の診断と指導が必要です。

肝臓病の猫向けの療法食は、消化性の高いタンパク質や良質な脂質が適切な量で配合されています。低塩分であることも重要です。

肝臓病の猫の療法食には、肝疾患全体をカバーしているものもあります。

このような製品は肝不全に配慮して高消化性のタンパク質が選ばれ、肝細胞内の銅の蓄積を防ぐために銅の含有量を制限しています。

消化器への負担を考えて、少ない食事で必要なエネルギーが摂取できるよう高エネルギーに調整されています。

現在、犬と猫の療法食はほかのペットフード同様安全性についてはペットフード安全法で、表示全般は公正競争規約で、薬事表現は薬事法や関連するガイドラインで規制されています。

しかし療法食の栄養基準は存在せず、市販のキャットフードをチェックする体制も整備されていません。

一般社団法人 獣医療法食評価センターによるガイドラインは存在しますが、明確な数値の基準はありません。

一般的には種類が同じなら、どのメーカーでも療法食の栄養組成は近くなります。

しかしながら療法食の栄養基準はメーカーに一任されているため、メーカーの病気に対する考え方によっては独特のレシピになっていることもあり得ます。

通常の総合栄養食と大差ない製品も存在します。

肝臓病の猫向け療法食の購入方法

肝臓病の猫向け療法食も通常のキャットフード同様、ホームセンターやインターネットで買うことができます。

しかし療法食は前述の通り獣医師の診断と指導を前提としているため、必ず動物病院で紹介されたものを購入しましょう。

療法食の種類が同じだとしてもメーカーによって栄養組成が異なる場合もあるため、自己判断で変えるのは危険です。

自分で購入するときは間違えて異なるキャットフードを買わないように注意し、勝手に療法食をやめたりしないようにしましょう。

また病状も変化するので定期的に獣医師の診断を受けると適切な療法食を選ぶことができ、長期使用の弊害も避けられます。

肝臓病の猫向け療法食を食べてくれない時は

肝臓病の療法食に限らず療法食はいままで食べていたキャットフードとは異なるため、切り替えがうまく行かないことがあります。

猫が療法食を食べてくれないときはいままで食べていたキャットフードに療法食を混ぜて、徐々に療法食の割り合いを増やしましょう。

いままで食べていたキャットフードの器の隣に療法食の器を置いて、療法食を食べ始めたら切り替えるという方法もあります。

獣医師から、療法食に切り替える際の指示が出ている場合は守ってください。

キャットフードを食べないことによる肝リピドーシスの発症を避けるため療法食を食べなかったとしても、なんらかのフードを食べることができるようにしておくことが肝心です。

肝臓病の猫の療法食もメーカーによって味が異なり、ドライやウェットなどのタイプの違いもあります。

猫が療法食を食べないときにはいままで食べていたキャットフードのメーカーが肝臓病の療法食を出していないか、どんなタイプがあるのかなどを確認した上で獣医師に相談しましょう。

馴染んだ味や食感の療法食に変更することで、猫が食べるようになるかもしれません。

獣医師から療法食のサンプルをもらって、猫が気に入るものを探すのもよいでしょう。

ドライフードならお湯で湿らせウェットタイプなら電子レンジで人肌程度に温めると、香りが立って猫の食欲が出る場合もあります。味のない鶏肉の茹で汁で風味を加えるのもよい方法です。

猫の肝臓病には療法食が不可欠

猫の肝臓病には様々なものがあり、原因もそれぞれです。

しかし肝臓は、再生が可能な臓器でもあります。肝臓を休ませ適切に栄養をコントロールすれば、肝臓の機能をとり戻せるかもしれません。

獣医師の診断と指導の下で適量の療法食を与えることで、猫の寿命を延ばすことができます。

定期的に獣医師の診断を受けながら獣医師に紹介を受けた療法食を与え、自己判断で療法食を変更したりやめたりしないようにしましょう。

多頭飼いの場合は、健康な猫とは別の部屋で食事を与えるとキャットフードを混同しません。