腎臓病のための猫用療法食の特徴

猫の死因で最も多いと言われているのが、慢性腎臓病です。

腎臓は人間と同じく血液に含まれる老廃物や毒素を濾過して体外に排出したり、水分バランスを整えたりと生命の維持に欠かせない役割を果たしている臓器です。

その腎臓の組織は、一度壊れてしまうともとに戻ることはないので、薬物療法や食事療法で症状の進行を緩やかにしていきます。

その食事療法のために考案されたのが、療法食です。

ここでは腎臓病のための猫用療法食に興味がある方のために、役立つ情報をまとめていきます。

腎臓病の猫が療法食を必要とする理由

腎臓病になった猫は、今までと同じキャットフードを食べられません。

なぜならば、腎臓が働いていないので、体に様々な変化がでているからです。

体に有害な物質を排出できませんし、水分量の調整ができなくて体がむくみやすくなっています。

こういったことを踏まえて、腎臓病の猫には病気の体に合わせたキャットフードを用意する必要があります。

適切にキャットフードを与えていれば、腎臓にかかる負担を減らせますから、症状の進行は期待通りに緩やかになります。

それが、療法食を用いた食事療法で期待される効果です。

 

ただ食事療法では、療法食以外は食べさせてはいけないというわけではありません。

飼い主が腎臓病の猫のために、栄養バランスやカロリーを計算したキャットフードを与えることができます。

とはいえ症状は遅らせることはできても、完全に止めることは難しいです。

そうなると、緩やかに進む症状に合わせて計算を何度もやり直す必要があります。

また、すべての食材をチェックして、腎臓病の猫に与えられるものかを考えるのは飼い主にとって負担になることです。

人間の生活もありますから、専用のキャットフードをいつまで用意できるかは疑問です。

 

それならば、腎臓病の猫向けにつくられた療法食に切り替えたほうが良いでしょう。

療法食ならば、ただ購入したものを与えるだけなので、食材を購入して加工する手間を省けます。

しかも獣医師の指導を受けながら症状にあった療法食を与えていれば、避けなければならない栄養を与えるリスクが減ります。

結果として、腎臓病の猫は長く生きられる可能性がでてきます。

こういったことから、腎臓病の猫は療法食を必要としている、と言えます。

腎臓病の猫向け療法食の特徴

腎臓病の猫は、腎臓が働かなくなっているので量を控えるべき栄養素がいろいろとあります。

例えばたんぱく質は、普通ならば体をつくり生命活動に必要なエネルギーをつくりだすために欠かせません。

しかし、たんぱく質をエネルギーに変換するときに生じる老廃物が非常に厄介な存在です。

体に有害な老廃物は、腎臓が働いていれば難なく体外に排出できます。

でも、腎臓病で体外への排出ができなければ体内に蓄積して尿毒症という症状を引き起こします。

尿毒症は、血中の老廃物が腎臓だけでなく脳や消化器官の働きに悪い影響を与える病気です。

尿毒症になってしまうと、食欲不振や食化不良あるいは痙攣といった症状がでてきて、最悪の場合には呼吸ができずに命を落としてしまいます。

このため、たんぱく質が多いキャットフードを食べさせないように注意しなければいけません。

 

あと体の水分量を調整できないために、リンやナトリウムの排出ができません。

リン・ナトリウムも体内に蓄積されたら病気の原因となる栄養です。

リン・マグネシムが泌尿器で結晶化すれば、膀胱結石や尿道結石となり、飼い猫をひどく苦しめることになるでしょう。

ナトリウムの場合には、過剰に蓄積されたら高血圧のリスクが高くなります。

高血圧は心臓・血管の病気を引き起こす要因です。脳梗塞や脳内出血が起きれば、そのまま命を落とすことだってありえます。

 

こういったことから、腎臓病の猫向け療法食ではたんぱく質やリン・ナトリウムが含まれる割合を抑えています。

ここで一つ重要なポイントになるのが、療法食はただ量を抑えているだけではなく、十分な量を摂取できるように調整されていることです。

たんぱく質は老廃物を作り出す栄養ではありますが、生命活動に必要なエネルギー源でもあります。

たんぱく質が不足してしまうと、猫の体は筋肉を分解してエネルギーを確保しようとします。

筋肉が減れば、ただでさえ腎臓病で弱っている体がさらに衰えてしまい病気に負けてしまうでしょう。

ですから、たんぱく質は多すぎてもいけないし少なすぎてもいけません。

その絶妙なバランスを、療法食は計算しています。

 

他にも療法食には、オメガ3脂肪酸を含んでいるものが多いという特徴があります。

というのも、腎臓病の猫にあらわれる症状の一つに関節炎や皮膚炎などの炎症があるからです。

オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があるので、積極的に摂取しておけばそういった炎症を抑制できます。

加えて、オメガ3脂肪酸は赤血球に柔軟性をもたせる働きがあることも、療法食に使われている理由です。

腎臓病になると、高血圧が続くことで血管が傷み動脈硬化が起きやすくなります。

その動脈硬化を抑制するのに、オメガ3脂肪酸が役立ちます。

腎臓病の猫向け療法食の購入方法

腎臓病の猫向け療法食は、どこで買えるのかというとキャットフードの取り扱いをしているネット通販・ペットショップ・ドラッグストア・ホームセンターに行けば購入できます。

また、動物病院の中にも、療法食の購入ができるところはあります。

なので腎臓病の猫を治療するために通院しているならば、獣医師に頼めば購入できるでしょう。

どの実店舗や動物病院に行けば療法食の購入ができるのかを知りたいときには、最寄りの取り扱い先をWEBサイトで検索できるメーカーもあります。

なお、入院をしているときに療法食が出されるときにはペット保険の補償対象になりますが、家で食べるために持ち帰るのは補償対象外です。

従って、購入費用はどこで購入しても全額を自己負担しなければいけません。

腎臓病の猫向け療法食を食べてくれない時は 腎臓病の猫だって、キャットフードの好き嫌いがあります。

療法食を食べれば病期の進行を遅くできるとしても、猫が理解して嫌なものを食べてくれるわけではありません。

そういうときには、食欲をそそるような食べ方を試してみましょう。

食べやすいようにふやかしたり、温めて食感やにおいを変えると言うのはよく使われる手です。

それでも食べてくれないときには、療法食のメーカーを変えてみるとか、異なるメーカーの療法食をブレンドをしてみるといったことが功を奏することがあります。

ただ、メーカー変えたりブレンドをするときには、それで食事療法に影響が出ないかを獣医師に確認をしてからのほうが良いでしょう。

腎臓病の猫に与えるキャットフードは療法食にすれば安心

腎臓病の猫は、腎臓の働きが著しく低下しているので、普通のキャットフードは食べられません。

病気に合わせて栄養を調整した療法食と呼ばれるキャットフードが手軽かつ安心して食べさせてやれるキャットフードです。

療法食は簡単に入手できるものですから、いつでも始められます。

猫によっては療法食の味が気に入らないかもしれませんが、工夫をすれば乗り越えられます。

療法食を食べさせて症状を緩やかにできれば、飼い猫とともに過ごせる時間が長くなるかもしれないので、興味があるならば獣医師に相談をしてみましょう。