結石のための猫用療法食の特徴

人間と同じように、猫も尿路に結石ができます。

結石がいったんできるとなかなか尿と一緒に排出されず、愛猫は激痛に苦しむことになるのです。

残念ながら、結石を溶かす薬は開発されていません。

多くの場合、時間経過とともに自然に結石が排出されるのを待つしかないものの、猫の結石対策として、療法食が有効と言われています

結石対策の療法食にはどんな特徴があるのでしょうか?

療法食の購入方法や療法食を食べてくれないときの対処法についても解説します。

結石の猫が療法食を必要とする理由

猫は概して水分補給が苦手で、泌尿器系のトラブルが多いと言われています。

腎臓疾患だけでなく、尿路結石に悩まされる猫も少なくありません。

結石ができる原因は、水分の不足とミネラルの摂りすぎと言われており、栄養分に偏りがあると適正なPH値を保てず尿路で結晶が形成されてしまうのです。

健康な猫の尿はPH値6.5前後の弱酸性ですが、PH値が高すぎてアルカリ性になるとストルバイト結石ができ、PH値が下がり酸性に傾くとシュウ酸カルシウム結石が尿路に形成されます。

 

猫の結石の大半はストルバイト結石で、ほとんどの雄猫がストルバイト結石に苦しんだ経験を持つと言われているほどです。

シュウ酸カルシウム結石はそれほど多くないものの、ストルバイト結石を治療しようとしてPH値が下がりすぎ、尿が酸性になってシュウ酸カルシウム結石を生じさせてしまうという事例も見られます。

したがって、結石ができた猫はもちろんのこと、まだ罹患していない猫も結石予防を意識した食事が必要になるでしょう。

また、結石ができた猫は、石を排出した後も再発する可能性が高く、結石ができにくい食事療法が必要です。

 

いったん結石ができてしまった猫も、結石の肥大化をおさえ、速やかに排出を促すような療法食を与えなければなりません。

小さな結石なら水分補給や運動によって自然に排出されますが、大きくなると自然排出が困難になり手術を要するケースもあるのです。

結石の猫向け療法食の特徴

ナトリウムを適度に含む

尿路結石を排出するには、尿の量を増やし、尿内のミネラル濃度を低くすることが必要です。

キャットフードに含まれるナトリウムが多いと猫は喉が渇くので、水分補給を欲するようになって尿の量が増えるでしょう。

消化が良い

結石の猫が消化の良い療法食を摂取すれば、大便の水分が減って尿の量が増えます。

したがって、消化の良い食材をふんだんに使うなど、結石対策の療法食は工夫を凝らして作られているのです。

ストルバイト結石対策のため尿を酸性化する成分を含む

猫に多いストルバイト結石の対策としては、クランベリーやメチオニンといった尿を酸性化する成分を含む療法食が挙げられます。

こうした成分が含有された療法食は、尿のPHを下げるうえで効果的ですが、シュウ酸カルシウム結石ができた猫にはかえって有害なので避けなければなりません。

リン・カルシウム・マグネシウムの比率が調整されている

猫に不可欠なミネラル成分として、リン・カルシウム・マグネシウムの3つが挙げられます。

ただし、これらの成分のバランスが大切で、結石対策用の療法食は、リンを1とすると、カルシウムが1.2で、マグネシウムは0.08という比率で配分されています。

特に、リンやカルシウムに比べてずっと少ない量に抑えるべきマグネシウムの摂取量が多すぎて、尿内で結晶化するケースがよく見られるのです。

結石の猫向け療法食の購入方法

適切な療法食を模索中なら動物病院で購入する

愛猫に合う療法食を探している段階では、慎重な対応が必要です。

獣医に相談して結石治療に最適な療法食を紹介してもらい、可能なら愛猫を診察してもらった動物病院で購入しましょう。

市販されず、動物病院でしか購入できない療法食もあります。

ホームセンターやペットショップで購入する

ホームセンターやペットショップに飼い主が赴いて、試供品をもらったり店員から説明を受けたりしながら愛猫に適した療法食を探すという方法もあります。

様々な種類の療法食を自分の目で確かめられるというメリットを生かせるでしょう。

療法食の種類が決まっていればインターネットで買うことも可能

概ね購入予定の製品が決まっていれば、ネット販売されている製品を安価で大量に購入できます。

ただし、賞味期限や保管状況などをネット上ではチェックできないというデメリットに注意しましょう。

結石の猫向け療法食を食べてくれない時は

猫は食べず嫌いの傾向が強く、愛猫が療法食を食べようとしないこともあります。

飼い主としては愛猫が結石で苦しんでほしくないので、何とか食べてもらいたいと思うものです。

そんな時はいくつか工夫を凝らすと食べてくれるかもしれません。

猫の好きな鶏肉の茹で汁をかける

療法食に口を付けようとしない場合は、愛猫の好きな鶏肉の茹で汁といった猫用スープをかけると食べてくれることがあります。

人肌程度の温かいスープなら、香りも出て猫の食欲を誘うでしょう。

スープの水分も摂取できて、尿の量を増やす効果も期待できます。

ただし、あまり大量にかけすぎると療法食の成分のバランスを崩すおそれがあることから、最低限必要な量におさえましょう。

同一成分の他製品を試してみる

猫の結石対策の療法食は、様々な種類の製品が販売されています。

同じ成分でも味や香りが微妙に違うため、様々な製品を試してみるうちに愛猫に適した療法食が見つかるかもしれません。

ドライフードなら、試供品をもらえるペットショップがあるし、小袋サイズの療法食を分けてくれる動物病院もあります。

療法食の代わりに錠剤を混ぜて与える

どうしても療法食を食べてくれない時は、療法食を諦め、ストルバイト結石対策用の尿酸化剤を普通食に混ぜて食べさせるという手段もあります。

これで尿のPHを下げられますが、普通食の内容が結晶化を促進するものでは効果を期待できないので、獣医に相談して普通食の成分も調整する必要があるでしょう。

タブレット投与と同時に、水分補給の機会を増やすといった配慮も欠かせません。

愛猫の結石の原因や症状に合わせて適切な療法食を与えましょう

猫の結石の原因や種類は様々です。ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石など、尿のPH値を調整することで結晶化を防げる結石があることを飼い主は知っておきましょう。

猫は結石ができやすい動物だという認識を持ち、日頃から水分摂取量を増やしたり、運動させたりする努力が欠かせません。

もし愛猫に結石ができてしまったら、特効薬はないので、結石の肥大化を防ぎ、スムーズに排出できるように療法食を与えましょう。

その際に、愛猫の結石の種類に合った療法食を選ぶため、獣医に相談することが重要です。