新たに家族となった子猫には、いつまでも健康でいてほしいものです。
だからこそ、もしも子猫がご飯を食べなかったら、誰でも心配になってしまうものでしょう。
ただ、この問題を解決するには、原因を突き止めるために子猫の状況をきちんと把握したり、食べてもらうための工夫を凝らしたりといった、飼い主側の努力も必要になることがほとんどです。
では、子猫が元気にご飯を食べるようになってくれるには、いったいどんなポイントに気をつけるべきなのでしょうか。
子猫がご飯を食べない原因
子猫がご飯を食べない原因としてはいくつかの代表例が存在しています。
一番わかりやすいのは、子猫の体調が良くないケースです。
当然ではありますが、人間と同じように子猫も体調が悪ければ食欲が減退します。
子猫が体調不良になっている場合、嘔吐や下痢をしていたり、おもちゃで遊んだり部屋を走り回る元気がない、目ヤニやくしゃみが見られる、などのわかりやすい兆候が見られます。
この場合はすぐに獣医に診察してもらうのがいいでしょう。
特に子猫のうちは免疫力がまだ低く、病気にかかりやすいので、万全を期することが肝要です。
一方、飼い主が頭を悩ませがちなのが、子猫は元気なのに何らかの要因でご飯を食べないというケースです。
このような場合に原因として考えられるのが、子猫の年齢(月齢)による影響、運動不足の影響、食事への興味が低下している影響などです。
子猫が大人の猫と同様にキャットフードなどの固形物のご飯を問題なく食べられるようになるのは、生後2か月以降が目安と言われています。
月齢を正確に把握できなければ、子猫の乳歯がそろっているかで判断することもできます。
いずれにせよ、固形物を食べるための準備ができていない子猫に対して、適切でないご飯を与えても食べてはもらえないと言えるわけです。
このような場合は、キャットフードを柔らかくふやかしてみたり、固形物に慣れるまではもう少しだけミルクを与えたり、などの対策をしてみるのがいいでしょう。
本来猫は、狩りをして食事をする生き物でした。
狩りという行為は猫の食欲を刺激するきっかけにもなっていたわけです。
しかし、飼い猫になると、狩りをしなくても決まった時間にご飯を食べることができるので、ご飯そのものに対しての興味が薄くなることもあります。
とりわけ、食事の時間以外にも常に置き餌がされている状況だと、より一層食事への関心を下げることにもつながりかねません。
そのため、狩りの感覚を疑似的に体験させる一環として、ご飯の前におもちゃで遊ばせてみたり、ご飯を見慣れないように置き餌はやめて、決まった時間に決まった回数だけご飯をあげるという方式に切り替えることが求められます。
これら以外で子猫がご飯を食べない原因となりうるとすれば、ストレスや好き嫌いが挙げられます。
この2つについてもう少し詳しく見ていきます。
子猫がストレスでご飯を食べない時の対策
ストレスが原因でご飯を食べないケースは子猫にも起きうるものです。
まずは子猫が何に対してストレスを感じているのかを推測し、そのうえでそれを取り除いていく必要があります。
もしも、子猫を家に招いたばかりなのであれば、生活環境の変化がストレスになっているとまずは考えられます。
子猫にとっては、それまで生活していたペットショップとはまるで異なる環境で生活することになったわけなので、見るもの全てに動揺をしてしまうこともあるのです。
子猫が飼い主やその家自体に慣れるまでは、食事の際にはケージに布などで目隠しをしてあげるのもいいでしょう。
慣れない人に見られながらでは食べられなくても、一人で落ち着けるタイミングならばご飯を口にしてくれることがあるからです。
飼い主や生活環境にある程度慣れた頃にストレスになるものとしては、音や匂いが挙げられます。
猫の聴覚や嗅覚は人間よりもはるかに敏感であることを忘れてはなりません。
子猫が食事をする際は、テレビやパソコンなどの音量が大きすぎないか気をつける、掃除機や洗濯機の使用は控える、部屋の芳香剤や自分が付ける香水の匂いが強すぎないか考えてみる、といった点に配慮をしてみるべきです。
また、複数の猫、あるいは犬などの別の動物と一緒に子猫を生活させている場合は、それがストレスになっていないか注意することも必要です。
飼い主としては「一人だと可哀そうだから」という思いやりから他の猫や動物と一緒にしているかもしれませんが、猫はもともと群れを作る動物ではありません。
せめてご飯の時は、それぞれの距離を離すなどして、自分のペースを維持できるようにしてあげることも大切なのです。
子猫が好き嫌いでご飯を食べない時の対策
好き嫌いをするようになってしまった子猫にはいくつかの対策をおこなうことが必要です。
ポイントは、おやつを与えすぎないこと、子猫に期待をもたせないこと、の2つです。
まずはおやつについてです。
市販されているおやつは、どれも味や匂いが猫の好みに合わせて作られているため、猫は飛びつくように食べるものです。
しかし、それは食事ではなく、あくまでおやつであり、ご褒美や機嫌取りのために一時的に与えるものであることを意識しましょう。
おやつを頻繁に与えすぎると、その味に慣れてしまい、普段の食事を食べなくなってしまうのです。
「おやつはたまにあげるもの」と固く心に刻むことをおすすめします。
ご飯をあげても、好き嫌いで食べずにいるようであれば、そのままご飯を放置せずに一度下げるようにしてください。
ご飯は終わりだと猫に伝えることで、「食べずに待っていたら自分の好きなものをくれるかもしれない」と猫に期待させないことが目的です。
少し時間が経って、猫がご飯を催促するようなら、同じご飯を再度与えて様子をみるようにしてみましょう。
ただし、最初にあげたご飯が傷んでいないかは注意が必要です。
あるいは、飼い主が食べてほしいご飯に、猫の好みのご飯を少しだけ混ぜて与え、その後は徐々に猫が好きなご飯の分量を減らしていくのも効果的です。
喜んで食べてくれるからといって、猫が好きなものだけを与えすぎるのはくれぐれも厳禁です。
子猫が食べるご飯選びのポイント
ミルクや離乳食を卒業すると、子猫のご飯の選択肢は一気に広がるわけですが、ご飯選びにもいくつかのポイントが存在します。
まずは、できるだけ高たんぱくなご飯を選ぶことです。
たんぱく質は、子猫にとってのエネルギー源になるだけでなく、体の組織の構成要素にもなっているので、十分な摂取が求められます。
目安は、分量のうちの30%以上がたんぱく質であることです。
なお、パッケージに記載される原料欄は、内容量の多い順に並ぶので、最初に肉や魚と書かれたものを探すのもコツです。
子猫は成人した猫と比べて2~3倍のエネルギー量が必要だと言われています。
しかし、その一方で、子猫は大人の猫よりも食べる量が少ないのが普通です。
このギャップを埋めるために、子猫用のご飯は少量でも高カロリー、且つ必要な栄養素を網羅できるものが望ましいと言えます。
特に、高いカロリー量を取るために欠かせないのが脂質です。
臓器や筋肉を動かすためだけでなく、脂溶性であるビタミンA、D、E、Kの摂取を促進させる効果も期待できるからです。
可能であれば、脂質量20%以上の高脂質タイプのご飯を選択肢に入れてみるのもいいでしょう。
ただし、ご飯のあげすぎは逆効果になることは忘れないようにしてください。
ご飯を通じて大切な家族に思いやりを
ご飯を食べるというのはとても大切なことです。
とりわけ、子猫にとっては、これから大人になるうえで必要な体を作っていくために欠かせませんし、飼い主にとっては大切な家族が健康に育ってくれるからこそ、ともに過ごす時間をより楽しく充実したものにできるからです。
子猫がご飯を食べない原因は様々にあり、解決するには根気も、努力も、工夫も必要です。
それは簡単なことではありません。
しかし、その過程は全て、愛情や思いやりとして子猫にも必ず伝わるのです。