猫にチョコを与えるのはNG!その理由と誤飲時の対策

どの家庭にもよくあるチョコレートやココア。

人間にとっては毎日を豊かにしてくれるご褒美かもしれませんが、犬や猫にとってもそうとは限りません。

実は、チョコレートはネギなどとならんで犬猫の命にかかわる危険な食べ物とされています。

猫の味覚は甘さを感じないつくりになっているものの、チョコレートを誤食してしまう可能性は0ではありません。

万が一の事態に陥った際にすぐに処置できるよう、この記事では猫にとってチョコレートが有害な理由や中毒症状、その後の適切な対処方法などを紹介します。

猫にチョコを与えてはいけない理由

猫がチョコレートを食べてしまった場合に悪影響を及ぼすのは、主にカフェインやテオブロミン(苦み成分)といった成分です。

いずれもチョコレートの原料であるカカオに含まれる成分で、人間が摂取した場合、カフェインには覚醒作用や運動能力向上、テオブロミンにはリラックス効果などのありがたい効能があります。

しかし、人間がこういった効能を享受できるのは、人体がこれらの成分を分解する能力に長けているためです。

猫や犬のからだは、カフェインやテオブロミンを分解する能力が人間のそれをはるかに下回っているため、中毒を起こす危険性が高いのです。

カフェインやテオブロミンによる中毒は猫の脳神経や心臓に大きな影響を与え、中には死に至ってしまう場合もあります。

猫は本来チョコレートに対してそこまで関心を持ちませんが、飼い主が食べているからと興味を示したり、個包装の小さなチョコレートを前足でいじって遊ぶうちに食べてしまったりということもあるようです。

また、クリスマスやバレンタインなどのイベントで盛り上がるうちに、つい猫におすそわけしてしまったというケースもあります。

繰り返しますが、カフェインやカカオを含む食べ物は決して猫に与えてはいけません。

固形のチョコレートだけでなく、ホットココアなどのドリンク、製菓用のココアパウダーなどにも注意が必要です。

猫がチョコを食べてしまった時に起きる症状

症状の程度と症状が出るまでの時間は、猫の空腹状態や食べた量、食べたチョコレートの種類などによって違います。

多くの場合は、猫がチョコレートを食べてから1、2時間ほどで中毒症状が出始めます。

猫が空腹であった場合には、より短時間で成分が吸収されてしまうため、すぐに中毒症状が出てくることもあります。

主な中毒症状は以下のとおりです。

  • 過度な興奮、呼吸の乱れ、ふらつき
  • 発熱
  • ひきつけ、けいれん
  • 嘔吐、下痢
  • 失禁

カカオ含有量が多い食品を短時間で大量に食べてしまうと、最悪の場合突然死してしまうケースもあります。

チョコレートに限らず、カカオを含む食品を猫が食べてしまった場合には、すぐに動物病院に電話して診察を受けましょう。

猫がチョコを食べてしまった時の致死量は?

猫がカフェインやテオブロミンによって中毒を起こす量は、猫の体重1kgあたり15~20mg。

致死量は体重1kgあたり250~500mgとされています。

体重が3.0kgの小柄な猫が市販の板状ミルクチョコレート(一枚あたりテオブロミン含有量約75mg)を食べてしまった場合、板チョコを半分も食べれば中毒症状が出るだろうといえます。

ちなみに、一枚まるごと食べてしまっても致死量には届きません。

とはいえ、大事な猫ちゃんが苦しむことがないように、チョコレートやココア、その他カフェインを含む食品は猫が届かない場所に保管するようにしましょう。

しかし、注意が必要なのは、食べた量よりも『チョコレートの種類』に関してです。

例えば、市販のダークチョコレートは、ミルクチョコレートの約2倍のテオブロミンを含んでいます。

砂糖不使用の純ココアパウダーや一部のチョコレートにいたっては、さらに数倍以上のテオブロミンを含むこともあり、一口でも猫のテオブロミン中毒を引き起こしかねません。

テオブロミン含有量が高い順にチョコレートの種類をざっくり並べると、

無糖チョコレート>ダーク(ビター)チョコレート>ミルクチョコレート>ホワイトチョコレート

となります。

自分の猫が食べたのはどの種類のチョコレートなのかを把握しておくと、より正確な治療を施すことができるでしょう。

猫がチョコレートを食べてしまったときの対処は?

猫がチョコレートやカカオを含む食品を誤食してしまったら、症状が出るのを待たずに動物病院で診察することをオススメします。

テオブロミンによる中毒はカフェインよりも作用が遅く、症状がゆっくりと出始めるからです。

ネット上では「飼い主がすぐに吐かせればOK」という記事もありますが、吐しゃ物が気管に入り、誤嚥や窒息に繋がることもあります。

素人の医療行為は非常に危険ですので避けた方が良いでしょう。

また、診察時には『何を食べたか、どのくらい食べたか、いつ食べたか』の情報があると診断の助けになります。

病院では、薬を使って食べたものを吐き出させたり、尿道からカテーテルを挿入してテオブロミンの再吸収を阻害したりなどの措置が取られます。

処置をおこなっても嘔吐しない場合や、普段の内服薬によって嘔吐用の薬が使えない場合には、全身麻酔をおこなって胃を洗浄することもあります。

いずれも獣医師が猫の具合を見ながらおこなう必要があるので、なるべく早くに獣医師の診察を受けるようにしましょう。

中毒症状は数日続くこともありますので、うちに帰ってからもしっかりと経過観察をおこなうことが大切です。

また、自宅でのチョコレートの保管方法も見直す必要があるでしょう。

高い所や戸棚の中に置いた程度では、猫のお留守番中にちょっかいを出されてしまう可能性があります。

キッチンの入り口にフェンスやゲートを置く家庭もありますが、ご存知通り猫はジャンプ力が非常に優れていますので、あまり良い対策にはならないかもしれません。

冷蔵庫などの猫には開けられないドアがある場所に保管できると安心です。

【愛する猫を守る大原則】犬猫には人の食べ物を与えない!

多くの人々から愛されるチョコレートですが、犬猫にとっては命を脅かす大敵です。

ペットも家族の一員だからといって、人間と同じような食べ物を与えることは、必ずしも犬猫のためになるとは限りません。

今回紹介したチョコレート以外にも、猫に与えてはいけない食品は多く存在します。

例えば、人間と比べて腎臓の弱い猫にとって、塩分が多い食べ物は毒になってしまうこともあります。

良かれと思っていたことが裏目に出ないように、猫に適した食事やおやつを与えていきましょう。