猫にまたたびを与える時の正しい方法と注意点

愛猫と楽しく過ごすためには、楽しいおもちゃや大好物のおやつなどがあると非常に便利です。

そんな好物の中でも比較的好き嫌いが現れにくく、猫であればおしなべて好きな物として「またたび」があります。

またたびは猫を酩酊のような状態にする効果があり、これは他のおやつや玩具では代替できない特有のものです。

今回はまたたびとは具体的にどんな物なのか?猫がなぜまたたびで酔ったようになってしまうのか?などに加え、実際にまたたびを与える際の注意点や、正しい与え方などについても解説していきます。

意外と知らない「またたび」ってなに?

またたびというと粉末状の物が多く出回っているので実物を想像しにくいですが、またたびはマタタビ科マタタビ属の落葉蔓性木本です。

別名夏梅と呼ばれ、古くは918年の本草和名にもその名前が出てきます。

日本及びアジアに分布し、国内では北海道、本州、四国、九州の湿り気の有る山地の林縁に分布しています。

茎は蔓になっており、大きな葉っぱと白い小さな花が特徴です。

また人も食べるフルーツとして有名なキウイフルーツもマタタビ科です。

そのためまたたびもキウイフルーツと種の配列の近い果実を実らせます。

未成熟の青い実は渋みと辛みが強く食用には適しませんが、黄色く熟した果実はキウイフルーツにやや近い甘みで食用に耐えうる味となっています。

また葉も食用として利用することができ、乾燥させてお茶として煎じる地域もあります。

 

猫に与えるまたたびは基本的にこのまたたびの実を乾燥させた物になります。

実はこのときのまたたびの実には、猫に与えるものとしてより適したものが有り、それが虫こぶとなったまたたびの実です。

またたびの実には一部の虫が寄生することがあり、それによってコブ状に実が膨らみます。

この虫こぶになった実は薬効が強まるとされており、乾燥させる他果実酒の生薬としても利用されています。

そして猫への酩酊効果も通常のまたたびよりもこの虫こぶとなったまたたびを元にして作られたものの方が良いとされているようです。

猫がまたたびに寄ってくる理由

人間にも薬効が有るまたたびですが、猫に対しては人とは違った効き方をします。

この猫にだけ現れる酩酊効果によって猫もこのまたたびを好んで集まってくるのですが、実は猫がなぜまたたびによって酔ったような反応をするのか、ハッキリとしたことは分かっていません。

猫がまたたびを求める理由は、酔って気持ちよくなる以外にもあることが分かっています。

その原因は「マタタビラクトン」と呼ばれる成分にあります。

マタタビラクトンとは、またたびに含まれる複数の成分を指していますが、その中でも「ネペタラクトール」という成分が蚊への忌避活性を有しており、猫は蚊を避けるためにまたたびに体を擦り付ける本能が有るということが分かっているのです。

そのためまたたびを見つけた猫はまたたびを舐めたり噛んだりもしますが、寝転んで体を擦り付けるようにする行動もよく見られるでしょう。

 

また近年では似たような効果があるとしてキャットニップという名前の商品も売られていますが、こちらはイヌハッカと呼ばれる植物で、ネペタラクトールに似た効果がある「ネペタラクトン」という成分が含まれています。

しかし防虫作用としてはまたたびのネペタラクトールの方が強いことが分かっています。

猫にまたたびを与える時の注意点

猫はまたたびを好みますし、おやつのように食べすぎて太るという心配もありません。

また、与えると嬉しそうにするので飼い主としてはたくさん与えたくなるかもしれませんが、実はまたたびも与えすぎるのはよく有りませんし、何より与える際にはいくつかの注意点が存在します。

まずまたたび入りの玩具で遊ばせる時はできるだけ目を離さずに見守ってあげる事です。

またたび入りのボールなどは、稀に割れて中に入ったまたたび粉末が飛び出してしまうケースがあり、それを舐めすぎてしまうことでまたたびを過剰摂取してしまう危険性があるからです。

またたびは猫を興奮状態にさせる作用があるため、やや体への負担があります。

体が弱った老猫や、まだ生まれたばかりで感覚器官などが発達しきっていない小さな子猫に与えるのはパニックの原因にもなるので控えたほうが良いでしょう。

またまたたびは猫にとってもある程度の慣れが必要な物です。

最初からたくさん与えるのではなく、最初は少量を嗅がせるだけにしてみたり、成分の弱いまたたび玩具を与えるなどして少しずつまたたび成分に慣れさせていくことが大切です。

猫にまたたびを与える時の正しい方法

猫にまたたびを与えるには、以下の手順や要領に従って与えることで猫にとってより安全な楽しみになるでしょう。

またたびを与える量と与え方

猫によって適量が変わってくるため、与えたときの猫の様子を見ながら徐々に増やして適量を見定めることが大切です。

最初は玩具などに入れて匂いだけを嗅がせるタイプが良いでしょう。

それに慣れてきたら今度は成分が弱いまたたび製品を与えるのが効果的です。

またたびの成分は粉末が一番強く、次点で液体、その次に実となっており、枝や葉はそれらと比べると低めです。

そのため適度に長持ちして成分も強くない枝から与え、慣れてきたら粉末を爪とぎなどにほんの少し(小さじ1/3程度)かけるなどして与えてみて、それで十分気持ちよくなっているようであれば良いですし、そうでなければ少しずつ増やして適量を見定めて行くと良いでしょう。

あまりべろべろに酔ってしまうのは危険なので、どのくらい酩酊が続くかも、量を見定める判断材料にしてみてください。

またたびを与える頻度

またたびは毎日与えてしまうと刺激になれてしまうこともあるため、できれば1日は空けるのが望ましく、週に1~3回がちょうどよいでしょう。

また普通にただ与えるだけでも構いませんが、特に猫が好む物でもあるためしつけのご褒美として与えるのがおすすめです。

猫が大好きなまたたびだけど与えすぎには要注意!

またたびは猫を気分良く酩酊させてくれるオススメの嗜好品であり、また蚊の忌避効果も期待できるため夏などには特に活躍します。

しかし刺激が強い物でもあるため与えすぎには注意が必要ですし、幼猫に与えるとパニックを起こす危険性もあるため注意が必要です。

与える際も粉末が手軽ですがこれは効果が強すぎるため、最初はまたたびの枝から始めるのが良いでしょう。

枝は猫が噛むことで脳が刺激を受けて老化を防止してくれる効果も期待できるので、玩具兼おやつとして活躍してくれるでしょう。