猫と遊ぶのは楽しいですが、温和な猫でも、突如として噛みついてくることもあります。
噛みつかれたら「この子と信頼関係が築けていないのかな」と、飼い主はガッカリしてしまうでしょう。
また、場合によっては他の誰かに噛みついて、怪我をさせてしまうこともあるかもしれません。
猫に噛まれると病気を発症し、場合によっては命にかかわることもあるようです。猫の噛み癖を、安易に放っておくのは危険です。
今回は、猫が何で噛むのかや、噛まれた時の対処法などについて紹介しましょう。
猫が甘噛みする理由
ストレスが溜まっている
猫も人間と同じように、様々なことでストレスを抱えています。
出歩かないように紐でつないで飼っていたり、気持ちよく寝ている所を無理やり起こしたり、お気に入りの場所を荒らしたりなど。
猫はストレスを感じた時、噛むという行為で感情を表すことがあります。
威嚇してきたり、しつこく噛んできたりする場合は、猫にストレスが溜まっているサインかもしれません。
むやみに触り過ぎ
触られるのが好きな子もいれば、嫌いな子もいます。
何回も触ったりすることで、猫は嫌なことから逃れようとして甘噛みや本気噛みをしてくることがあるのです。
触りすぎで噛まれるのは、野良猫や、高齢猫、あまり人に慣れていない猫などにによくみられる行動です。
人間と同じように、猫にはあまり触られたくない部分というのがあります。
猫に触る時は、どこを触られると喜ぶのか、嫌がるのか考えながら触ることが大切です。
獲物と間違えた
野性の猫は鳥やウサギ、虫などの獲物をとって食べます。
このような狩猟本能は、野良猫だけでなく、人間に飼われて育った猫にも備わっていると言われています。
そのため、手をユラユラと左右に動かしたり、布団やドアのすき間から手だけ出したりすると、獲物と勘違いして噛まれてしまうことがあるのです。
面白がって噛ませすぎると、「人間の手はおもちゃだ、獲物だ」と勘違いさせてしまうので、手を使って猫とじゃれ合うのは避けるようにしましょう。
飼い主に対する愛情表現
猫に噛まれると、「嫌われてるのかな」「機嫌が悪いのかな」と、ネガティブなイメージが浮かびがちですよね。
ただ、母猫や兄弟に甘えて、「構って」という気持ちを込めて甘噛みしてくることがあるのです。
これは、母猫の母乳を飲んでいた頃の、「吸いつき行動」の名残りとも言われています。
機嫌が悪くないのに噛んでくる場合は、猫が飼い主に対しておこなう愛情表現の可能性もあるでしょう。
猫に噛まれると危険?発症する病気
猫引っかき病
猫引っかき病は、猫に引っかかれたり、噛まれたりすることで発症することから、この名前が付けられました。
これは、バルトネラヘンセレと呼ばれる細菌により引き起こされる感染症です。猫に引っかかれた時の傷口から感染し、リンパ節炎などの症状を引き起こします。
ほとんどの場合は軽い症状で済むものの、症状が重くなると高熱が持続したり、頭痛などが伴ったりすることがあります。
パスツレラ病
全ての猫の中に、パスツレラ菌というものが潜んでいます。
これは猫にとっては無害であるものの、人間にとっては有害です。
噛まれたりして人間の中にこの菌が入ると、パスツレラ症を発病する可能性があるのです。
感染した場合は、呼吸器障害、皮膚化膿等の症状を引き起こすことがあります。
傷が深かったり、免疫不全や糖尿病などの疾患があったりする場合は重症化しやすくなってしまうので、注意が必要です。
猫に噛まれた時の対処法
猫に噛まれた時に発症する可能性があるものは、複数あります。
症状がひどくなると、通院が必要になったり、最悪の場合は死に至ったりする可能性があるので、甘く見ては見てはいけません。
まず、猫に噛まれたら、すぐに傷口を流水でキレイに洗い流しましょう。
傷口が深かったり、何らかの症状が現れたりした場合は、念のために病院を受診するようにしましょう。
猫に噛まれないためのしつけ方
・大きな声を出す
猫に噛まれないためには、噛むという行為が悪いことであると、理解してもらう必要があります。
猫に噛まれそうになった時は、「痛い」「ダメ」と落ち着いた声で叫ぶのが効果的です。
大声を上げることで、猫はビックリし、行動を中断させることがあります。
何度も繰り返すことにより、「噛んだら嫌なことが起きる」と猫は学習し、次第に噛むという行為をやらなくなっていきます。
・噛まれたら手を口の中へ押し込む
噛まれた瞬間手を勢いよく引っこめると、獲物だと勘違いして更に噛みつこうとしてくる場合があります。
猫に噛まれた時は、手をグッと口の中に、軽く押し込んでみましょう。
そうすることにより、猫はそれ以上噛むことができなくなりますし、苦しくて噛むのをやめてくれるのです。
大きな声を出すのと同様、手を口の中へ押し込むことにより、噛むと嫌なことが起きると猫に感じさせることができます。
ただ、あまりやり過ぎると嫌われてしまう可能性があるので、注意が必要です。
・噛んでも良いおもちゃを用意する
猫には、物を噛みたいという欲求が生まれた時から備わっています。
噛んでも良いおもちゃを用意することで、猫は思う存分噛むことができ、噛みたい欲求を満たすことができます。
また、遊ぶことでストレス発散になり、イライラが原因の噛みつき行動をやめさせることにも繋がるでしょう。
噛むのをやめさせたい、そんな時は猫が愛用してくれるような噛むおもちゃを用意してみましょう。
・猫の嫌がる匂いをつける
猫に噛まれてしまうならば、あらかじめ猫が嫌がる匂いのものを付けておくのも良いしつけ方法です。
猫が嫌いな匂いに、ミントやラベンダーなどがあります。
猫が嫌がる匂いのするスプレーを手にかけることにより、噛むのを防ぐことができます。
噛む対象のものに嫌な匂いを付けて、猫に「これは噛んではいけない」ということを覚えさせていきましょう。
噛む癖はやめさせよう
猫にも、犬と同じように学習能力があります。
しっかりと諦めずにしつけをすることにより、「噛む行為はいけない」ということを理解してもらうこともできます。
猫に甘噛みされても、あまり痛みを感じないかも知れませんが、実は危険な病気に繋がる恐れがあるのです。
猫に噛みつかれてしまった後は、甘やかさず、適切な対処を心がけるようにしましょう。
そして、愛猫にストレスが溜まっている時は、飼い主がおもちゃなどを使って遊んであげることも、噛み癖をなくすために大切です。