猫用の療法食とは?種類や特徴まとめ

病気を抱えた猫には、どんな食べ物を与えるかが治療の上で重要なポイントになります。

疾病対策のキャットフードとして、猫用の療法食が販売されています。

猫専用の療法食には、様々な種類がありますが、どれも成分の配合に工夫が凝らされており、治療に貢献していると言えるでしょう。

ただし、同一の病気の対策用といっても、どの療法食でもかまわないという訳ではありません。

療法食の選定には、注意が必要なのです。猫の療法食の特徴や種類に加え、購入の注意点や食べさせる方法について解説します。

猫用の療法食の特徴

猫の療法食は、特定の疾患に特化した内容になっており、健康な猫にとっては栄養が偏ってしまうこともあります。

したがって、愛猫が抱える病気の種類によって、療法食を選ばなければなりません。

選ぶ基準は素人にわかりにくいため、適当に選定してはならず、必ずかかりつけの獣医に相談してから決めることが重要です。

適切な種類に加え、1回に与える量や頻度についても獣医の指示をあおぎましょう。また、療法食はあくまでも一時的な対症療法の1種であって、いつまでもだらだらと与え続けるものではありません。

 

期間を限定して効果的に食べさせることにより、疾病を治療し、症状を緩和できるのです。

療法食が余ったからと言って、回復後も摂取を継続したり、他の猫に食べさせたりすることは避けましょう。

猫用の療法食の種類とちがい

猫用の療法食は、疾患を抱える部位によって異なります。

糖尿病に悩まされる猫におすすめの療法食

猫を室内で飼うことが推奨されるようになり、運動不足の猫が増えました。猫が好きな高カロリーのおやつを与えているうちに、肥満状態に陥る猫も少なくありません。

こうした猫は血糖値が上がってしまい、糖尿病にかかりやすくなっています。

糖尿病の猫のために作られた療法食は、炭水化物の量を減らし、血糖値の上昇を防いでくれます。炭水化物や脂肪の代わりにたんぱく質を多く含有しているのです。

肥満気味になった猫向けの療法食

運動不足で肥満体型になってしまった猫には、炭水化物の量をおさえた低カロリーの療法食がおすすめです。

特に、避妊・去勢手術を受けてホルモンバランスが崩れた猫は、異常に食欲が増して肥満になりやすいことから、肥満対策用の療法食が不可欠と言えるでしょう。

こうした療法食は、長期間にわたる安定した体重管理を目的としており、単に炭水化物を減らすだけでなく、アミノ酸を調整して減量した後のリバウンド対策も考えられています。

低カロリーのキャットフードは味気ない粗食になり、猫から敬遠されがちですが、嗜好性を工夫した療法食も発売されていて、猫の食いつきについても心配無用です。

腎臓疾患を抱える猫用の療法食

猫に最も多いのは腎臓疾患です。

腎臓病が悪化すると慢性腎不全に陥り、老廃物を排出できなくなって死に至るケースが少なくありません。

腎臓に問題を抱える猫には、オメガ3脂肪酸を配合した療法食が向いています。慢性腎不全を防ぐには、タンパク質とリンを摂りすぎないことも重要で、療法食ではこの点も配慮されているのです。

慢性腎臓病の猫のために調合された療法食は、腎臓に負担を与えるナトリウムも抑えた配合になっており、腎臓疾患によって食欲不振に陥った猫が食べやすいように香りを工夫したものが多いと言えます。

尿路結石といった泌尿器トラブルを抱える猫のために作られた療法食

猫は、積極的に水分を摂取しようとしないことから、腎臓だけでなく、尿路結石などの泌尿器系疾患が多い動物です。

尿路結石には、ストルバイト結石症やシュウ酸カルシウム結石症などいくつか種類があり、結石の成分によって摂るべき栄養分が異なります。

いずれにしても、ミネラル成分を摂りすぎず、尿のPHを適正な数値に保つことが大切です。尿路結石対策を考えた療法食は、PHのバランスが崩れて結晶化しないように数値を維持でき、結石ができそうになっても、大きくならず膀胱から押し出せる成分も含んでいます。

消化器系のトラブル対策に適した療法食

胃腸に優しいと言われるキャットフードを与えても、便秘や下痢を繰り返す猫は多いでしょう。

このように消化器系の機能が低下した猫のために、可溶性食物繊維を多く配合した療法食が開発されています。可溶性食物繊維を摂取すると、腸の消化機能が高まり、栄養を効率的に吸収できるのです。

この療法食は、消化の良い食材を厳選しており、腸が弱った猫でも栄養をバランス良く摂れるでしょう。

猫用の療法食を買うときのポイント

療法食は、ペットショップやホームセンターなどで購入できますが、できる限り愛猫がお世話になっている動物病院で販売されているものを買う方が良いです。

療法食はときに身体の弱った猫の生命を左右することもあり、ペットショップやホームセンターなどで購入した製品を食べさせて万一問題が生じたら、獣医が責任を持って対処できません。動物病院では、診察した猫に最適の療法食を選んでくれます。

良心的な飼い主ならば、値段が多少高くても、信頼できる製品を愛猫に与えたいものです。

また、動物病院でしか取り扱っていない療法食も少なくありません。

獣医が自ら指定した療法食ですから、摂取後の健康状態に関しても責任を持って対応してくれるでしょう。

猫用の療法食を食べてくれないときのコツ

嗜好性が高い市販のキャットフードに慣れた猫は、最初のうち療法食に難色を示すこともあるでしょう。

したがって、猫用スープを加えて療法食を柔らかくしたり、38度くらいに加熱し香りを高めたりして、猫の食欲をそそるよう努めなければなりません。

また、いきなり普通食から療法食に切り替えるのではなく、少しずつ療法食を混ぜてその量を増やしていくといった工夫が必要です。

大抵の場合は、療法食に好物のキャットフードを混ぜておけば、次第に慣れてくれます。もっとも、深刻な泌尿器系疾患の猫には、療法食以外のキャットフードを与えてはいけないことになっています。

猫の療法食は選定や与え方が難しいので、獣医の指示に従いましょう

愛猫の病気の回復には、食事療法が欠かせません。適切な食事療法を行うには、特定の疾病対策に特化した療法食の選定や与え方につき、プロからアドバイスを受けることが大切です。

素人考えで適当に療法食を選んで与えたら、かえって猫の健康を損ねるおそれがあるのです。

愛猫のかかりつけ獣医に療法食を紹介してもらい、可能ならその動物病院で購入しましょう。食いつきが悪ければ、加熱や普通食との混合といった工夫も必要です。

また、適切な療法食であっても、獣医に指定された時期に限定して摂らせましょう。