通常、猫の食欲は安定的で、日によって大きく変わることはありません。
したがって、愛猫がご飯を食べないと、食欲不振に陥ったのではないかと心配する飼い主も多いでしょう。
食欲不振の原因は、病気であることも少なくないからです。
しかし、ご飯を食べないからといって、食欲不振とは限りません。
猫は気まぐれな動物で、食欲があってもご飯を食べないこともあるのです。
食欲不振の場合の見分け方や対処法について紹介しましょう。
また、食欲不振でない場合の原因についても解説します。
猫が食欲不振でご飯を食べないのを見分ける方法
猫がご飯を食べない時は、単にお腹が空いていないだけなのか、それとも食欲不振に陥っているのか、飼い主は見分けなければなりません。
もし食欲不振なら、原因を究明して対策を講じなければならないからです。
ただ、猫は自分から食欲不振だと申し出てくれないので、食欲不振の兆候を知っておく必要があります。
食欲不振に陥っている場合は、以下のような特徴が見られることがあります。
元気がなく寝そべっていることが多い
いつもは食事どきに名前を呼ぶと食事場所に駆け寄ってくるのに、寝床から離れようとせずぐったりしている時は、食欲不振に陥っていると言えます。
既に空腹になってもおかしくない時間帯なのに、一向に食欲を見せないという場合は、まず消化器系などの病気を疑わなければならないでしょう。
ただし、来客や外出の後など気疲れした後は、食欲不振でなくてもこうした様子を見せることもあるので、個々の状況から判断しましょう。
食器に向かうものの一口二口で止めてしまう
一応食事時は食器に口をつけようとするものの、少し食べただけでそっぽを向いてしまうことがあります。
食べようとする気力はあるものの、実際にご飯を前にするとげんなりしてしまうという現象は、食欲不振の表れだと言えるでしょう。
よだれを垂らしながら、食器の前で横を向いたままフリーズしてしまったり、しきりに前足で口の周りを拭う動作をしたりすることもあります。
特に、口の中に口内炎ができていると、こうした状況に陥ることが多いです。
単に食事の内容が気に入らない場合は、飼い主の顔を見上げて別のキャットフードを要求するため、気にする必要はありません。
次第に食事量が減る
いきなり食べなくなるのではなく、少しずつご飯を食べる量が減っていく場合も、食欲不振のケースと言えます。
大好きなおやつも食べようとしません。水ばかり飲んで食事に手を付けようとしないことが多く、この場合も病気が疑われます。
逆に、ご飯には口をつけず、おやつを喜んで食べる場合は、単なる偏食で食欲不振とは言えません。
猫が食欲不振でご飯を食べない時の対策1. 食べるまでそっとしておく
猫が食欲不振の時は、心配だからと言って無理やり食べさせる必要はありません。
寝そべっていることが多くても、歩けるうちは、放っておいても生命にかかわることはないでしょう。
むしろ、嫌がる猫に無理強いをすると逆効果です。
下手をすると、食事自体がストレスになって、食事場所に近寄らなくなってしまいます。
遊んでほしいというアピールをしてきたら適度に相手になってあげればよいし、かまってほしくないという雰囲気を醸し出していたら、わざと目を合わせず放置しておくことが望ましいでしょう。
健康に問題がなければ、やがて愛猫の方からご飯の催促をしに来ます。
基本的に、猫はそっとしておいてもらいたい動物だということを忘れないようにしましょう。
もっとも、食事を摂らない時間が1日以上と長時間に及ぶ場合には、猫の目につく場所に少量のキャットフードを置いておくことをおすすめします。
もしその食器が空になっていたら、追加分を与えればよいのです。
猫が食欲不振でご飯を食べない時の対策2. 食べやすいご飯を選ぶ
消化しやすいキャットフードを選ぶ
硬いカリカリなどのドライフードを与えていた場合、猫が食欲不振に陥ったら、比較的柔らかいご飯を選んで与えると食欲が回復するかもしれません。
缶詰やチューブ入りの食べやすいキャットフードをあげると、大抵の猫は喜んで食べてくれます。
特に、消化能力の衰えた老猫は、柔らかい食感のキャットフードを好むでしょう。
消化しやすいと、胃もたれも解消され、ますます食欲が増進されます。
ウェットフードは水分が多いので、食欲不振で水分不足に陥った猫に水分を補給する役割も果たします。
香りのよいキャットフードを選ぶ
猫は何でも匂いをチェックしてから好き嫌いを決めるので、キャットフードの香りは猫の食欲を左右する重要なポイントです。
愛猫の食欲不振が続いたら、愛猫が好きそうな香りのキャットフードを選んで与えましょう。
マグロなど魚由来の匂いを好む猫のため、香りにこだわったキャットフードも市販されています。
猫が食欲不振で以外でご飯を食べない原因はある?
猫は食欲不振になっているわけでもないのにご飯を食べないこともあります。
多頭飼いのケース
多くの猫を一軒の家の中で飼っている場合、食事時はご飯の取り合いになることも珍しくありません。
気の弱い猫は、強い猫に押しまくられ、食事を摂りそこなうこともあるでしょう。
そのうち食事がストレスになって、食事に対して消極的になってしまう猫もいます。
1匹に1枚ずつの食器を与えるだけでなく、食事時間を分割したうえで、食事部屋に入れる猫の数を制限して、気の弱い猫も落ち着いて食べられる環境作りが欠かせません。
外が気になって食べられない
室内で飼っている猫は、外の世界に強い関心を持っています。
出窓に向かって1日中外を見物している猫も多いでしょう。特に、鳥などの小動物が目に入ると、猫は興奮してしまいます。
食事場所から外の様子が見えると、ご飯そっちのけで外の景色に集中してしまうので、食欲不振でもないのにご飯を食べなくなってしまいます。
食事場所は猫が食い散らかすから汚れやすいものの、ベランダなど外の景色が見える場所は好ましくありません。
猫の食欲不振を見分けて早めに対処しましょう!
猫がご飯を食べない原因が、単にお腹が空いていないだけということなのか、それとも食欲不振なのか見極めるのは容易ではありません。
多くの場合、隣人からおやつをもらっていたために満腹だったなど、心配ないケースでしょう。
しかし、食欲不振が疑われる場合には、その原因を究明し、早めに対処しなければなりません。
猫は腎臓病になることが多く、食欲に影響することも多いからです。
稀に悪性新生物等の深刻な病のケースもあるので、様々な兆候と併せて心配なら獣医に診てもらいましょう。