自分の飼っている猫が、血尿を出したことはありますか?
急に猫のおしっこに血が混ざっていたら、驚く飼い主さんも多いのではないでしょうか。
どうしたらいいかわからず、不安に思うこともあるでしょう。
猫のおしっこに血が混ざっていたら、ほぼ間違いなく何かしら体にトラブルを抱えている可能性が高いです。
重症であれば命に関わることも。
取り返しのつかない事態になる前に、猫の血尿についてしっかり把握しておくことが重要です。
ここでは、猫が血尿を出す原因から対処法まで紹介します。
猫が血尿を出しやすい理由とは
猫は、犬と比較すると泌尿器に関わる病気が多く、中でも血尿が出たというケースが大半を占めます。
多く見られる血尿ですが、一言で血尿といっても原因はいくつもあります。
症状の程度もケースによりさまざまで、早急に対処すれば軽症で済むこともありますが、放置し重症になると命に関わる危険性もあります。
血尿は、文字通り「血の尿」または「血の混ざった尿」ですので、尿管、膀胱、尿道のどこかで出血している可能性が高い症状です。
特に、膀胱や尿道の粘膜に傷がつき出血することが多く、その原因としては、尿石症や尿道炎、膀胱炎、腫瘍などがあります。
猫は交尾排卵動物のため、人や犬のように定期的に生理の出血がありません。
そのため、血尿が出たら体に異常がある合図です。早急に動物病院に連れていく必要があります。
猫の血尿の原因と対処法 – 尿結石の場合
猫が血尿を出す原因の一つである尿結石は、泌尿器のどこかに尿石ができる症状です。
尿石といっても、必ずしも石ころのようなものではなく、多くは砂のような形状をしています。
このような結晶や結石が排泄のときに、膀胱や尿道を通ります。
その際、粘膜にダメージをあたえ出血し血尿が出ます。
さらに、この状態を放置すると結石や結晶が蓄積し、完全に尿路を塞いでしまう事態になります。
すると尿が出なくなり、急性腎不全になり最悪は死に至ることもあります。
そのため、早急な対応が必要な症状です。
尿結石が原因で血尿が出たときは、まず早急な受診が最も望ましい対処法です。
血尿が出ても、一過性の出血といった可能性はあります。
ただし、排尿の回数や1回の尿の量に変化がなく、元気も食欲もある場合を除いては、様子を見て良いケースはほとんどありません。
そもそも猫は、人や犬のように生理による出血がないため、血尿が見られたら早急に受診することが一番の対処法と言えます。
また、泌尿器系の病気にならないように普段から気をつけることも大切です。
下痢のときなどは、陰部が汚れていたら拭き取るなど清潔に保つことを心がけましょう。
食事を見直すことも重要です。
結石ができやすい体質の場合は、療法食を取り入れることも検討してみましょう。
猫の血尿の原因と対処法 – 尿道炎・膀胱炎の場合
猫が血尿を出す主な原因として、尿結石の他に尿道炎や膀胱炎があり、性別に関係なく見られる症状です。
尿道炎や膀胱炎は、正常な状態だと無菌である膀胱に、尿道から細菌が入り感染が起こります。
感染したことで粘膜が傷つけられ、出血し血尿が出ます。
膀胱炎には「特発性膀胱炎」と「細菌性膀胱炎」があり、どちらも血尿の原因になります。
「特発性膀胱炎」は、尿検査で血液細胞は確認されるが、細菌などが確認できないため、原因がはっきりしていない症状です。
「細菌性膀胱炎」は、主に尿道口から細菌が入り、尿道や膀胱で細菌が増え、尿路の粘膜にダメージをあたえることで、血尿の原因になります。
炎症に関しては、細菌に対して効果のある薬を使用することで治るケースが多い症状です。
症状が出てしまったら、尿結石同様、動物病院を受診することが最も望ましい対処法になります。
ただし、炎症は薬の使用ですぐに改善できる場合もありますが、放置すると完治までに長期間を有することもあり、最悪は外科的な対策が必要な事態もありえるので楽観視してはいけません。
そもそも炎症を起こさないようにすることが、一番大切なことでしょう。
炎症を起こす原因には、体型やストレスなども関わってきます。
肥満になると、水を飲むことや排尿が面倒になり、排尿をギリギリまで我慢することで膀胱炎になることがあります。
太らないように普段の食事を考え、ストレスを溜めないように室内でもしっかり運動ができるようにするなど、普段の生活を見直すことが重要です。
炎症が起きてからどう対処するかより、炎症を起こさないようにすることが一番の対処法になります。
猫の血尿のその他の原因は?
猫の血尿の原因としては、尿結石・尿道炎・膀胱炎がありますが、これら以外にもさまざまな原因により血尿を出す可能性があります。
犬に比べると少なく、かなり稀ですが腫瘍が原因で血尿を出すことがあります。
尿路に腫瘍ができると、細胞が一気に増殖するため、本来あるべき組織の機能や構造を破壊してしまい、出血につながります。
また、膀胱は「移行上皮」という伸縮性のある上皮でできていて、ここが腫瘍になると移行上皮癌になり、リンパ腫が転移することで血尿が出ます。
結石や炎症といった病気以外でも、落下や交通事故などにより腹部を強打した場合、尿管や尿道などにダメージを受け、傷がつくことがあります。
また、血尿の原因には、性別特有のものもあるため、それぞれ注意が必要です。
オス猫は、尿道などの炎症により、違和感を感じると自分でペニスを舐めすぎてしまうことがあります。
猫の舌はトゲのようになっているため、長時間舐めていると傷ができやすく、粘膜に小さな傷でもつくと出血につながります。
メス猫は、避妊手術をしていないメス猫の場合、子宮や卵巣などの疾患で出血が起こる可能性があります。
ただし、この場合は、血尿と思うほど出血することはほとんどないので、それほど心配はありません。
普段の生活を見直し、血尿をおこさないようにしよう。
猫が血尿を出すのは、犬と比較しても多いため注意が必要です。
原因は尿結石・膀胱炎・尿道炎などさまざまですが、猫が血尿を出すときは、体にトラブルを抱えている合図です。
血尿が出たら、まずは早急に動物病院を受診するのがいいでしょう。
また、血尿を引き起こす炎症は、体型やストレスによるものも多くあります。
症状が出てから対処するよりも、炎症をおこさないようにすることが最も大切です。
普段の生活を見直し、トラブルを事前に回避するように努めましょう。