キャットフードにはさまざまな種類があります。毛玉ケアや腎臓の健康維持など特別な効能を持たせた製品もあり、猫の気になる症状に合わせてキャットフードを選ぶ方も多いことでしょう。
病気ではない猫の気になる症状の代表格といえば、抜け毛です。猫によっては飼い主が心配になるほどごそっと毛が抜けてしまうこともあります。
今回は、猫の抜け毛のメカニズムや抜け毛をキャットフードで防げるのかどうか、キャットフードの失敗しない選び方などを解説していきます。
キャットフードの選び方は病気の症状で変える
猫は特定の栄養素が多すぎたり、少なすぎたりすると体調を崩して病気になることがあります。
その一例が尿路結石です。
尿路結石とは文字通り、おしっこの通り道である尿路に石ができる病気で、排尿困難や血尿が症状として表れます。症状が重くなると手術を勧められることもある怖い病気です。
尿路結石はおしっこの回数が少なく、カルシウムやミネラル分を多く取り過ぎることによって発症しやすくなります。
そのため、キャットフードを選ぶ際はミネラルが少なく、おしっこの量を増やすために高タンパクのものを選ぶと良いでしょう。
この他、便秘ぎみの猫には食物繊維や脂質が多いキャットフード、腎臓の機能が低下気味の猫には塩分控えめのキャットフードがおすすめです。
かかりつけの獣医師がいる場合、相談するとおすすめのキャットフードを教えてもらえます。
また、尿路結石など一部の病気は療法食に分類されるキャットフードを与えるように指示されることもあります。
療法食は獣医さんがあげるタイミングや量を指導してくれますし、動物病院で購入も可能です。
猫の抜け毛の原因とは
猫の被毛は定期的に生え替わります。
猫の被毛は一層のシングルコートと二層になっているダブルコートがあり、シングルコートの猫はシャム・バーミーズ・コラットなどです。
一方、ダブルコートの猫にはロシアンブルーやブリティシュショートヘアー、アビニシアンなどがいます。
一般的に、ダブルコートの猫の方が毛量が多い分、抜け毛も多めです。
また、猫は年に2回、春と秋に換毛期を迎えます。
春は夏に備えて長い毛が抜け落ちて短めの毛が生え、秋は冬に備えて短い毛が抜けて長い毛が生えてきます。
そのため、春と秋は夏と冬に比べると抜け毛が倍以上に増えることもあります。
一方、病気が原因で猫の毛が抜けることもあります。
抜け毛が症状として表れる代表的な病気は、皮膚炎です。
アレルギー性やアトピー性など複数の種類がありますが、いずれもかゆみが生じやすく、猫が患部を舐めて毛を抜いてしまうこともあります。
この他、糸状菌感染やノミの寄生などでも抜け毛が症状として出やすいです。
また、内臓疾患でお腹に痛みや違和感を覚えた場合もそこが気になって舐めてしまい、抜け毛が酷くなるケースもあります。
時には換毛期でもなく、病気でもないのに猫の抜け毛が増えることがあります。
これは、ストレスで過剰なグルーミング(毛づくろい)をした結果であることが多いでしょう。
猫は急に環境が変わったり、見知らぬ人が側に長時間いたりすると強いストレスを感じ、毛が抜けるまでグルーミングをしてしまうことがあります。
また、生まれついて神経質な猫は特に何もなくてもグルーミングをまめにしすぎて、抜け毛が多いことがあります。
キャットフードの選び方を変えてで抜け毛にアプローチ
では、キャットフードを変えると、猫の抜け毛に対してどのような効果があるのでしょうか。
大きく分けて2つあると考えています。
抜け毛を予防するキャットフードを選ぶ
猫の抜け毛が病気由来の場合はまずは獣医師に診察してもらい、適切な治療を受けましょう。
猫が健康であるならば、キャットフードを変えてみるのもひとつの方法です。
抜け毛を予防するには皮膚の状態を健康に保ち、毛に十分栄養を与えることが大切になります。
皮膚の状態を整えてくれる栄養素は、ビタミンA・タンパク質・オメガ3脂肪酸などです。
一方、毛の栄養源になるのはケラチン・オメガ6脂肪酸・ビオチンです。
聞き慣れない栄養素ですが、ケラチンはタンパク質に含まれており、ビオチンはビタミンB群に属しています。
オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸は魚の脂肪に含まれている栄養素です。
そのため、総合栄養食のキャットフードで肉(魚)を主成分とし、ビタミンAやBを添加したものならば、抜け毛防止に効果が期待できます。
「抜け毛予防」と謳っているキャットフードの多くがこれらの栄養素を多く含んでいます。
猫が飲み込んだ抜け毛をケアするためのキャットフード
猫はグルーミングの際に抜け毛を飲み込みます。
この抜け毛がうまく排泄されないと、毛球症・胃炎・食道炎などの病気になることがあります。
抜け毛が多い猫には速やかに毛玉を排出できるよう、「毛玉ケア用」のキャットフードを与えるのがおすすめです。
毛玉ケア用のキャットフードは多くのメーカーから販売されています。
キャットフードの選び方を間違えると抜け毛はどうなるの?
キャットフードには粗悪なものもあります。特に相場よりもはるかに安い値段のキャットフードは肉の質が悪かったり、添加物が多く含まれていることもあるでしょう。
このようなキャットフードを与えると、かえって猫の健康を損ねる可能性があります。
キャットフードの選び方として値段ではなく、原材料表記が細かく具体的であり、質の良い材料を使っていることを売りにしているものがおすすめです。
獣医師に相談して選ぶのも良いでしょう。
また、猫によってはキャットフードの成分で下痢や便秘になることもあります。
あるキャットフードはよかったけれど、別のキャットフードを与えたら体調を崩したということも珍しくありません。
キャットフードを切り替える場合、動物病院が開いている時間に少しずつ与えて様子を見ましょう。
なお、猫によってはキャットフードに好き嫌いをすることがあります。
どうしても食べない場合は無理強いせず、新しいものを試しましょう。
抜け毛はキャットフードで減らすことができる
猫の抜け毛を完全になくすことはできません。
しかし、皮膚をより健康にして被毛にふんだんに栄養が行き届くようにすれば、抜け毛が減る可能性はあります。
なお、皮膚が健康になって毛に十分な栄養が行き渡れば毛艶も良くなり、より美しい猫になるでしょう。
猫が健康だけれど抜け毛が気になる場合は、栄養素が多く含まれているキャットフードを与えてみるのも一つの手です。
かかりつけの獣医師がいる場合は、相談すればおすすめのキャットフードを紹介してもらえます。
毛玉ケアも同時に行い、飼い猫の健康を守りましょう。